はじめに
最近ではドラッグストアにいくと、漢方薬がたくさん並んでいます。
よく目にするものでは、ツムラ、クラシエ、ほかにもたくさんのメーカーが漢方薬をつくっています。
同じ名前の漢方薬でもどれを選んだらいいのか、悩みますよね。
ここでは市販薬の選び方について説明していきます。
成分の量
まず最初に「成分の量」を見比べてください。
実は市販の漢方薬は医療用に比べると、成分量が少なくなっているものが多いです。
成分量が少なく設計されているのは、安全性を考慮されているのかもしれません。
「漢方を飲んでも効かない」理由は成分が少ないためかもしれません。
反対に医療用と同じくらいの成分量が配合された漢方薬もあります。
しっかり成分が入ったものを選ぶ必要があります。
次に半夏厚朴湯という漢方薬の3社に使用されている生薬量を比較しております。
すべて市販薬です。
A社 | B社 | C社 | |
ハンゲ | 6g | 3g | 3g |
ブクリョウ | 5g | 2.5g | 2.5g |
コウボク | 3g | 1.5g | 1.5g |
ソヨウ | 2g | 1.0g | 1.0g |
ショウキョウ | 1g | 0.5g | 0.5g |
A社と比べると、B社、C社に入っている生薬の量は半分になっています。
この3社のなかで生薬量の多い、A社のものがおすすめです。
このように同じ漢方薬の名前でもメーカーによって成分の量が異なります。
市販の漢方薬を選ぶときは、ぜひしっかりパッケージ裏の成分量を見比べてお選びください。
成分の違い
漢方薬はものによって入ってる生薬が若干ですが、異なっているものがあります。
ここでは阿膠(あきょう)と膠飴(こうい)という生薬から説明しています。
阿膠(あきょう)
例えば、阿膠(あきょう)という生薬があります。
阿膠はロバの膠で高価な生薬です。阿膠には血を養う働き、潤す働き、安胎作用などがあります。
しかし実際には阿膠はゼラチンで代用されることが多いです。
阿膠が入っている漢方薬に温経湯があります。
温経湯のパッケージに裏をみると、ゼラチンが入っているものと、阿膠が入っているものがあります。
ゼラチンと阿膠では阿膠の方をおすすめいたします。
膠飴(こうい)
膠飴という生薬があります。
膠飴とは、麦芽からつくられた飴で甘く、気を補う働き、緊張を緩める働きがあります。
商品によっては膠飴が入っているものと、入っていないものがあります。
膠飴が入っている有名な漢方薬に小建中湯、黄耆建中湯があります。
阿膠の場合はゼラチンで代用されているのですが、膠飴の場合は入っていないことがあります。
小建中湯、黄耆建中湯を選ぶときは、パッケージの裏を確認し、膠飴が入っているものをぜひお選びください。
剤形の違い
一般的な漢方薬のイメージだと粉薬、もしくは煎じ薬のようなコトコト煮出して服用することが多いと思います。
実は粉薬以外にも丸剤と呼ばれるものがあります。
丸剤とは、生薬を粉末にし、それを蜂蜜などで練ってつくった漢方薬です。
丸剤の特徴としては、生薬の粉末を練ってつくっているので、生薬の成分がまるごと入っている点です。
エキス顆粒の粉薬をつくるときには、生薬を煮出して、それを顆粒状にするため、脂溶性の成分が抽出しづらといわれています。
丸剤の場合は生薬の粉末からつくられているので、粉薬には含まれづらい脂溶性の成分もまるごと入っています。
本来は丸剤だった漢方薬は、名前の下に「丸」という文字がついています。
桂枝茯苓"丸"、桂枝茯苓"丸"加ヨクイニン、八味地黄”丸”のように「丸」がついているものは本来は丸剤で服用されていました。
丸剤がある漢方薬に関しては、丸剤の漢方薬をおすすめいたします。