この記事では、不眠症に使われる代表的な7つの漢方薬について、それぞれの特徴・違い・使い分けを漢方薬剤師の視点から解説します。読み終えるころには、ご自身の不眠に合う1剤が見えてくるはずです。
※はじめにお読みください:不眠が1か月以上続いて日中に支障が出ている場合は、不眠症として治療の対象になります。また、不眠の背景にうつ・不安障害・睡眠時無呼吸症候群などが隠れていることもあります。症状が強い場合や長引く場合は、まず心療内科・精神科・睡眠外来などにご相談ください。漢方薬は、医療機関の治療とあわせて、または比較的軽い不眠の体質改善として取り入れるのが安心です。
この記事の内容
- 不眠症の4つのタイプと漢方の考え方
- 不眠症の漢方薬7つの選択肢
- あなたに合う漢方薬のセルフ診断
- 7つの漢方薬の特徴と違い
- 多角的な比較表(タイプ/随伴症状)
- よく似た漢方薬の使い分け(ペア比較)
- 失敗しない選び方の3ステップ
- 不眠症におすすめの食べ物・生活習慣・ツボ
不眠症の4つのタイプと漢方の考え方
不眠症は、睡眠の取れない時間帯によって、大きく4つのタイプに分けられます。タイプによって、漢方薬選びのポイントが変わります。
-
入眠障害:布団に入ってもなかなか寝つけない
-
中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまう
-
早朝覚醒:朝早く目が覚めて、その後眠れない
-
熟眠障害:睡眠時間はとれているのに、ぐっすり眠った気がしない
漢方では「気滞」と「血虚」で考える
不眠症の多くは、漢方でいう「気滞(きたい)」と「血虚(けっきょ)」が同時にあることが多いとされます。この2つの軸を理解すると、漢方薬の使い分けがわかりやすくなります。
-
気滞があると → 入眠障害につながる
ストレスなどで気の巡りが滞ると、頭が冴えて寝つけなくなります。
-
血虚があると → 中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害につながる
心(しん)を養う血が不足すると、睡眠の質が下がり、夜中に目が覚めたり、ぐっすり眠れなくなります。
つまり、寝つきが悪い方は「気の滞りを巡らせる」処方、夜中に目が覚める・熟睡できない方は「心の血を養う」処方が中心になります。両方ある場合は組み合わせて使うこともあります。
不眠症の漢方薬|まず知っておきたい7つの選択肢
不眠症に使われる漢方薬は数多くありますが、当店で特によくご提案するのは以下の7種類です。それぞれの一言特徴を先に押さえておきましょう。
-
帰脾湯(きひとう):疲労感がある・熟睡感がないときに
-
酸棗仁湯(さんそうにんとう):疲れているのに眠れない・神経が疲弊しているときに
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抑肝散(よくかんさん):イライラしやすく寝つけないときに
-
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう):イライラ・不安・便秘がちなときに
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逍遙散(しょうようさん):ホルモンバランスの乱れによる不眠に
-
桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう):驚きやすい・不安があるときに
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温胆湯(うんたんとう):舌の苔が厚い・不安があるときに
どれも不眠症に効果が期待できる漢方薬ですが、効くポイントが違うため、誤った選び方をすると効果を感じにくいことがあります。次の章で、ご自身に合うタイプをセルフ診断してみましょう。
あなたに合う漢方薬は?7つのタイプ別セルフ診断
以下の質問に答えていくと、ご自身の不眠のタイプとおすすめの漢方薬がわかります。
STEP1:どんな不眠のタイプですか?
- 寝つきが悪い(入眠障害)が中心 → STEP2へ
- 夜中に目が覚める・熟睡感がない(中途覚醒・熟眠障害)が中心 → STEP3へ
STEP2:寝つけないタイプの方は、どんな症状を伴いますか?
- イライラしやすい・怒りっぽい → 「抑肝散タイプ」
- イライラと不安、便秘もある → 「柴胡加竜骨牡蛎湯タイプ」
- 女性で、ホルモンバランスの乱れがある → 「逍遙散タイプ」
- 驚きやすい・ビクビクする → 「桂枝加竜骨牡蛎湯タイプ」
- 舌の苔が厚く、不安もある → 「温胆湯タイプ」
STEP3:熟睡できないタイプの方は、どんな症状を伴いますか?
- 疲労感が強く、考えすぎる傾向 → 「帰脾湯タイプ」
- 疲れて神経が疲弊している・神経過敏 → 「酸棗仁湯タイプ」
診断結果の見方
- 帰脾湯タイプ:疲労感・熟睡感がない
- 酸棗仁湯タイプ:疲れているのに眠れない
- 抑肝散タイプ:イライラで寝つけない
- 柴胡加竜骨牡蛎湯タイプ:イライラ・不安・便秘
- 逍遙散タイプ:ホルモンバランスの乱れ
- 桂枝加竜骨牡蛎湯タイプ:驚きやすい・不安
- 温胆湯タイプ:舌の苔が厚い・不安
セルフ診断はあくまで目安です。複数のタイプにまたがる場合や、判断に迷う場合は、漢方薬局でのご相談をおすすめします。
不眠症の漢方薬7選|それぞれの特徴と違いを徹底比較
ここからは、7つの漢方薬の特徴を「効くタイプ」「配合生薬」「他の漢方薬との違い」の3点から詳しく解説していきます。
①帰脾湯(きひとう)
こんな方におすすめ
- 疲労感が強い
- 熟睡感がない・浅い眠り
- 夜中に目が覚める
- くよくよ考えてしまう
- 貧血気味・顔色が悪い
配合生薬と働き
人参(にんじん)・黄耆(おうぎ)・白朮(びゃくじゅつ)・茯苓(ぶくりょう)・酸棗仁(さんそうにん)・竜眼肉(りゅうがんにく)・遠志(おんじ)・当帰(とうき)などで構成されています。酸棗仁・竜眼肉が「心の血」を養い、人参・黄耆が「気」を補うことで、睡眠の質を改善します。心と体の両方の消耗を補う処方です。
他の漢方薬との違い
帰脾湯の最大の特徴は「心の血を養って熟睡感を取り戻す」点です。心の血が不足すると、熟眠障害や中途覚醒につながりやすくなります。気を巡らせる抑肝散や柴胡加竜骨牡蛎湯が「寝つき」中心なのに対し、帰脾湯は「眠りの質」中心です。疲れやすい虚弱タイプの不眠に最適です。
②酸棗仁湯(さんそうにんとう)
こんな方におすすめ
- 疲れているのに、なかなか眠れない
- 頭が冴えてしまって寝つけない
- 夢を多く見て、よく覚醒する
- 神経が疲弊している
- 動悸を伴う不眠
配合生薬と働き
酸棗仁(さんそうにん)・甘草(かんぞう)・知母(ちも)・茯苓(ぶくりょう)・川芎(せんきゅう)の5つの生薬で構成されています。酸棗仁が「心肝の血」を養って神経の疲弊を癒し、知母が高ぶった熱を冷まし、茯苓が気持ちを落ち着かせます。古典的な不眠の代表処方です。
他の漢方薬との違い
酸棗仁湯の最大の特徴は「疲労が極まった状態の不眠」に特化している点です。帰脾湯も酸棗仁を含みますが、帰脾湯は「気と血の両方を広く補う」のに対し、酸棗仁湯は「心の血を養って神経を鎮める」ことに集中した処方です。「体は疲れているのに頭が冴えて眠れない」「疲弊しているのに眠りが浅い」というケースに向きます。
③抑肝散(よくかんさん)
こんな方におすすめ
- イライラしやすく、気が高ぶって寝つけない
- ちょっとしたことでカッとなる
- 歯ぎしり・筋肉のこわばりがある
- 感情が高ぶって抑えられない
- 子どもの夜泣きにも
配合生薬と働き
釣藤鈎(ちょうとうこう)・柴胡(さいこ)・当帰・川芎・白朮・茯苓・甘草で構成されています。釣藤鈎・柴胡が入眠を邪魔する気滞を巡らせ、高ぶった「肝」を抑えます。当帰・川芎が血を補って神経の高ぶりを和らげる働きもあります。
他の漢方薬との違い
抑肝散の最大の特徴は「気の高ぶり・怒り」によって寝つけないケースに対応する点です。帰脾湯・酸棗仁湯が「補う」処方なのに対し、抑肝散は「高ぶりを抑える」処方です。日中もイライラしやすく、夜になっても気が高ぶって眠れない方に最適です。
④柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
こんな方におすすめ
- イライラと不安が両方ある
- 便秘がち
- 動悸・どきどきを伴う
- 体力は中くらい〜ある
- ストレスで神経が高ぶっている
配合生薬と働き
柴胡(さいこ)・黄芩・半夏・茯苓・桂皮・竜骨(りゅうこつ)・牡蛎(ぼれい)・大棗・生姜などで構成されています。柴胡がイライラ・不安の気を巡らせ、竜骨・牡蛎が高ぶった精神を鎮めて睡眠しやすくします。大黄を加えて便通を改善することもあります。
他の漢方薬との違い
柴胡加竜骨牡蛎湯の最大の特徴は「イライラと不安が混在する不眠」に対応する点と、便秘がちな実証〜中等度向けである点です。抑肝散が「怒り」中心、桂枝加竜骨牡蛎湯が「不安」中心なのに対し、こちらはその中間で両方混在するタイプに向きます。比較的体力のある方向けです。
⑤逍遙散(しょうようさん)
こんな方におすすめ
- 生理前後に不眠が悪化する
- 更年期で眠りが乱れている
- 気分の浮き沈みがある
- 疲れやすく、血色が良くない
- 胸や脇が張る感じがある
配合生薬と働き
柴胡(さいこ)・薄荷(はっか)・当帰(とうき)・芍薬(しゃくやく)・白朮・茯苓・甘草・生姜で構成されています。柴胡・薄荷が滞った気を巡らせ、当帰・芍薬が血を補ってホルモンバランスを整えます。「気を巡らせる」と「血を補う」を両立した、女性に使いやすい処方です。
他の漢方薬との違い
逍遙散の最大の特徴は「女性のホルモンバランスの乱れによる不眠」に対応する点です。気の巡りと血の補いを両立しているため、生理周期や更年期の影響を受ける不眠に向きます。同じ女性でも、疲労感が強く熟睡感がない方は帰脾湯が適しています。
⑥桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
こんな方におすすめ
- 驚きやすい・ビクビクする
- 不安があって眠れない
- オドオドしてしまう
- 神経が高ぶって落ち着かない
- 比較的体力がなく、疲れやすい
配合生薬と働き
桂枝湯(桂皮・芍薬・大棗・生姜・甘草)に、竜骨・牡蛎を加えた処方です。竜骨・牡蛎が高ぶった精神を鎮め、不安な気持ちを落ち着かせます。桂枝湯が体を整え、神経の過敏さを和らげます。
他の漢方薬との違い
桂枝加竜骨牡蛎湯の最大の特徴は、竜骨・牡蛎による「鎮静」と虚弱体質向けである点です。柴胡加竜骨牡蛎湯も竜骨・牡蛎を含みますが、柴胡加竜骨牡蛎湯が体力のある方向け、桂枝加竜骨牡蛎湯が体力のない方向けという違いがあります。驚きやすく、ビクビクする神経過敏タイプの不眠に最適です。
⑦温胆湯(うんたんとう)
こんな方におすすめ
- 舌の苔が厚い・舌が白っぽい
- 不安があり眠れない
- 悪夢を見やすい
- 胃腸の調子が悪い・吐き気がある
- 痰がからみやすい
配合生薬と働き
陳皮(ちんぴ)・半夏(はんげ)・茯苓(ぶくりょう)・竹茹(ちくじょ)・枳実(きじつ)・甘草・生姜・大棗で構成されています。陳皮・半夏・竹茹が体内のヌメリ(痰湿)を取り除くことで、本来の気の流れを取り戻し、不安や不眠を和らげます。胃腸を整えながら精神を安定させる処方です。
他の漢方薬との違い
温胆湯の最大の特徴は「痰湿(体内のヌメリ)による不眠」に対応する点です。舌の苔が厚いのは痰湿の典型的なサインで、これが気の流れを妨げて不安・不眠を引き起こします。他の処方が「気を巡らせる」「血を補う」のに対し、温胆湯は「ヌメリを取り除く」処方で、独自のアプローチです。胃腸の不調を伴う不眠にも向きます。
7つの漢方薬を多角的に比較
7つの漢方薬の違いを、複数の視点から一覧で比較してみましょう。
【比較表①】不眠のタイプ別の適応
| 漢方薬 |
入眠障害 |
中途覚醒 |
早朝覚醒 |
熟眠障害 |
| 帰脾湯 |
△ |
◎ 強い |
○ |
◎ 強い |
| 酸棗仁湯 |
○ |
◎ 強い |
○ |
◎ 強い |
| 抑肝散 |
◎ 強い |
△ |
× |
△ |
| 柴胡加竜骨牡蛎湯 |
◎ 強い |
○ |
△ |
○ |
| 逍遙散 |
○ |
○ |
○ |
△ |
| 桂枝加竜骨牡蛎湯 |
◎ 強い |
○ |
△ |
△ |
| 温胆湯 |
○ |
○ 悪夢にも |
△ |
△ |
【比較表②】随伴症状別の適応
| 漢方薬 |
伴う症状・特徴 |
| 帰脾湯 |
疲労感、考えすぎ、貧血気味 |
| 酸棗仁湯 |
神経の疲弊、頭が冴える、動悸、夢を多く見る |
| 抑肝散 |
イライラ、怒りっぽい、歯ぎしり |
| 柴胡加竜骨牡蛎湯 |
イライラ+不安、便秘、動悸(体力あり) |
| 逍遙散 |
生理前後・更年期、気分の浮き沈み |
| 桂枝加竜骨牡蛎湯 |
驚きやすい、不安、虚弱体質 |
| 温胆湯 |
舌の苔が厚い、悪夢、胃腸の不調 |
【比較表③】漢方的なタイプと使い方
| 漢方薬 |
漢方的なタイプ |
使い方の目安 |
| 帰脾湯 |
気血両虚(補う) |
1〜3か月の継続 |
| 酸棗仁湯 |
心血虚(神経を養う) |
数週間〜数か月 |
| 抑肝散 |
肝の高ぶり(抑える) |
数週間〜数か月 |
| 柴胡加竜骨牡蛎湯 |
気滞+神経の高ぶり |
数週間〜数か月 |
| 逍遙散 |
気滞+血虚 |
生理周期に合わせて継続 |
| 桂枝加竜骨牡蛎湯 |
虚弱+神経過敏 |
1〜3か月の継続 |
| 温胆湯 |
痰湿(ヌメリを取る) |
数週間〜数か月 |
よく似た漢方薬の使い分け|ペア比較で違いを深掘り
「2つの漢方薬で迷う」というご相談も多くいただきます。よく比較されるペアを取り上げ、それぞれの違いと選び方を解説します。
帰脾湯 vs 酸棗仁湯|心の血を養うタイプの使い分け
どちらも「心の血を養う」働きがあり、熟睡できない・夜中に目が覚めるタイプに使えますが、補う範囲が異なります。
-
疲労感が強く、気も血も両方足りない → 帰脾湯
-
体は疲れているのに頭が冴えて眠れない → 酸棗仁湯
帰脾湯は人参・黄耆で「気」も補うため、虚弱で疲れやすい方の体質改善に向きます。酸棗仁湯は心の血を養うことに集中した処方で、神経が疲弊して頭が休まらない方に向きます。両方を併用することもあります。
抑肝散 vs 柴胡加竜骨牡蛎湯|寝つけないタイプの使い分け
どちらも気を巡らせて寝つきを良くしますが、不安の有無で選びます。
-
イライラ・怒りが中心で寝つけない → 抑肝散
-
イライラと不安が両方あり、便秘もある → 柴胡加竜骨牡蛎湯
抑肝散は「怒り」中心、柴胡加竜骨牡蛎湯は「怒りと不安が混在し、便秘もある体力のある方」向けです。柴胡加竜骨牡蛎湯は竜骨・牡蛎で鎮静作用も持ち、神経の高ぶりが強い方に向きます。
柴胡加竜骨牡蛎湯 vs 桂枝加竜骨牡蛎湯|竜骨・牡蛎を含む処方の使い分け
どちらも竜骨・牡蛎で精神を鎮めますが、体力で選び分けます。
-
体力があり、イライラと不安が混在 → 柴胡加竜骨牡蛎湯
-
体力がなく、驚きやすい・ビクビクする → 桂枝加竜骨牡蛎湯
同じ「竜骨・牡蛎」を使う処方でも、ベースが異なります。柴胡加竜骨牡蛎湯は「柴胡剤」で気を巡らせる力が強く、桂枝加竜骨牡蛎湯は「桂枝湯」がベースで虚弱体質の方を支えながら鎮静します。体力で見分けるのがポイントです。
帰脾湯 vs 温胆湯|不安を伴う不眠の使い分け
どちらも不安を伴う不眠に使えますが、原因の捉え方が異なります。
-
疲労感・血の不足が中心 → 帰脾湯(補う)
-
舌の苔が厚い・体のヌメリが原因 → 温胆湯(取り除く)
帰脾湯が「不足を補う」アプローチなのに対し、温胆湯は「邪魔するヌメリを取り除く」アプローチです。舌をチェックしてみて、苔が厚く白っぽい場合は温胆湯、苔が薄く色が悪い場合は帰脾湯が向きやすいです。胃腸の不調を伴う不眠には温胆湯が適しています。
不眠症の漢方薬の選び方|失敗しない3ステップ
ここまでの内容を踏まえて、ご自身に合う漢方薬を選ぶための実践的な3ステップをご紹介します。
STEP1:不眠のタイプを確認する
まず、ご自身の不眠が「入眠障害」か「中途覚醒・熟眠障害」かを確認します。
- 寝つけない(入眠障害)→ 気滞のタイプ(抑肝散・柴胡加竜骨牡蛎湯・逍遙散・桂枝加竜骨牡蛎湯・温胆湯)
- 夜中に目が覚める・熟睡感がない → 血虚のタイプ(帰脾湯・酸棗仁湯)
STEP2:随伴症状を確認する
次に、不眠と一緒に出ている症状で絞り込みます。
- イライラ → 抑肝散・柴胡加竜骨牡蛎湯
- 不安・驚きやすい → 桂枝加竜骨牡蛎湯
- 女性で生理前後・更年期 → 逍遙散
- 舌の苔が厚い・悪夢 → 温胆湯
- 疲労感・考えすぎ → 帰脾湯
- 疲れているのに頭が冴える → 酸棗仁湯
STEP3:体力・体質で最終判断する
最後に、ご自身の体力で最終判断します。
- 体力がある(実証)→ 柴胡加竜骨牡蛎湯
- 中くらい → 抑肝散・温胆湯
- やや虚弱・疲れやすい → 帰脾湯・酸棗仁湯・逍遙散・桂枝加竜骨牡蛎湯
選び方のコツ
不眠症の漢方薬は「寝つけない(気滞)」か「眠りが浅い・途中で目が覚める(血虚)」かをまず見極めるのが基本です。気滞と血虚が同時にあることも多く、その場合は処方の組み合わせもあります。睡眠衛生(就寝前のスマホを控える、生活リズムを整える)とあわせて取り組むと効果的です。
- 迷ったときは漢方薬剤師に相談
- 症状が変わったら処方も見直す
- 強い不眠が続く場合は医療機関へ
不眠症におすすめの食べ物・生活習慣・ツボ
漢方薬とあわせて、日々の食事・生活・セルフケアを整えることで、眠りやすい体質づくりをサポートできます。
おすすめの食べ物
不眠症の多くは「気滞」と「血虚」が同時にあるため、両方に働きかける食材がおすすめです。
気の巡りを良くする・香りの良い食べ物(気滞向け・入眠障害に)
- 紫蘇(しそ)
- 薄荷(ハッカ)
- 春菊
- セロリ
- ジャスミンティー
血を補う・色の濃い食べ物(血虚向け・中途覚醒/熟眠障害に)
- 色の濃い野菜(人参、小松菜など)
- 黒胡麻
- 肉類
- 魚類
おすすめの生活習慣
不眠症の多くは「気滞の溜まっている体質」もしくは「血虚で血が不足した体質」が背景にあります。気を巡らせ、血を消耗しないように工夫しましょう。
- 気を巡らせるためにウォーキング・ジョギングがおすすめ
- 血を消耗しないよう、スマホの使い過ぎに注意
- 就寝前は部屋の照明を暗くする
- 就寝前のカフェイン・ニコチンを避ける
おすすめのツボ|神門(しんもん)
神門は手首のしわの小指側、骨のくぼみにあるツボです。少陰心経(しょういんしんけい)のツボで、心の気を養い、精神を安定させる働きがあります。寝る前にゆっくり押すと、眠りやすくする助けになります。
漢方薬を選ぶときによくある質問
Q. 睡眠薬と漢方薬は併用できますか?
基本的に併用可能です。睡眠薬で眠りを確保しつつ、漢方薬で体質を整え、医師と相談しながら睡眠薬を少しずつ調整していく方もいらっしゃいます。必ず処方医と漢方薬局の両方に併用していることをお伝えください。自己判断で睡眠薬をやめないようにしてください。
Q. 複数の漢方薬を併用してもいいですか?
不眠症の漢方薬同士の併用は、薬剤師の判断のもとで行うことがあります。たとえば気滞と血虚の両方が強い方には、抑肝散と帰脾湯を組み合わせるといった使い方もあります。自己判断での併用は避け、専門家にご相談ください。
Q. ツムラと当店の漢方薬は何が違いますか?
市販されているツムラなどの製剤は、配合量が抑えめに作られていることが多いです。当店では、体質を中心にご提案しています。温胆湯のようにツムラ製剤として広く流通していない処方も、当店では取り扱いがあります。
Q. 漢方薬は寝る前に飲むべきですか?
漢方薬は基本的に食前・食間(空腹時)に飲むのが一般的です。不眠症の場合、夕食前と就寝前1〜2時間前に分けて飲む方法もあります。即効性を期待する薬ではなく、続けることで体質を整えて眠りやすくする薬とお考えください。
Q. 漢方薬はどのくらいで効きますか?
不眠症の漢方薬は、2〜4週間で変化を感じる方もいれば、1〜3か月かけてじっくり体質改善していく方もいます。寝つきが急に良くなるというより、徐々に眠れる日が増えていくイメージです。
Q. 効果を感じない場合はどうすればいいですか?
1か月ほど試して変化を感じない場合は、タイプが合っていない可能性があります。不眠のタイプや随伴症状を見直して別の処方に切り替えるか、薬剤師に相談して調整しましょう。1か月以上不眠が続いて日中の支障が大きい場合は、医療機関の受診を優先してください。
自分に合う漢方薬がわからない方へ
ここまで読んでも「複数のタイプにまたがっている気がする」「セルフ診断では決めきれない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
不眠症は個人差が大きく、同じ不眠でも体質や背景によって最適な処方が変わります。当店では、症状の経過・体質・生活習慣を丁寧にうかがった上で、お一人おひとりに合った漢方薬をご提案しています。
- LINEでの相談に対応
- 粉薬・錠剤・煎じ薬から選べるプラン
- 体調・季節に合わせて配合を調整
- 継続的なフォローで体質改善をサポート
不眠症は、漢方薬と生活習慣の見直しを組み合わせることで、少しずつ眠れる毎日へと近づけていける症状です。漢方で少しでも不眠を解消するお手伝いができればと思いますので、お気軽にLINEからご相談ください。
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